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  • 寝ている間にAIたちが会議して、朝には「裁定待ち」になっている仕組み

    寝ている間にAIたちが会議して、朝には「裁定待ち」になっている仕組み

    大きな判断を控えた夜は、寝る前にこう言って寝ます。「この件、チームで話し合っておいて」。

    朝起きると、5人のAIエージェントがそれぞれの専門から意見を出し合い、リーダー役のAIが論点を裁定して、「あなたの承認が必要なのはこの1件だけです」という状態になっている——そんな仕組みを個人事業の意思決定に使っています。

    大げさに聞こえますが、特別な基盤は使っていません。Claude Codeのサブエージェント機能だけです。役割ごとに指示文ファイルを1つずつ作って登録しておくと、あとは「チームで話し合っておいて」と頼むだけで、それぞれが自分の役割を読み込んで動いてくれます。この記事では、実際に回している会議の構成をそのまま書きます。

    なぜ「AIに会議をさせる」のか

    一人で事業をやっていると、意思決定の壁打ち相手がいません。AIに相談すればいいのですが、1つのAIに聞くと1つの視点しか返ってこない。しかも AIは基本的にこちらに同意しがちなので、「いいと思います!」ばかり集まって、リスクの見落としに気づけない。

    そこで発想を変えて、役割の違うAIを複数呼んで、お互いの意見を戦わせることにしました。

    会議の基本構成(5役+1)

    うちの会議は毎回この編成です。

    • 監査役: 提案の穴・過剰な楽観・数字の誤りを探す係。「賛成するのが仕事ではない」と明記してある
    • リスク役: 損失・破綻シナリオだけを見る係
    • 実績照合役: 「その案、過去に試して失敗してないか?」を過去記録から探す係
    • 分析役: データの裏付けと反証を両方持ってくる係
    • 企画役: 決まったことを実行計画に落とす係
    • リーダー(裁定役): 全員の意見を読んで、承認・条件付き承認・差し戻しを決める係

    ポイントは、全員に同じ資料を渡さないことです。同じAIに同じ資料を読ませると、口調だけ違う同じ意見が5つ返ってきます(これで一度失敗しました)。監査役にはログだけ、照合役には過去の失敗記録だけ、というふうに見せる証拠を分けると、本当に違う角度の意見が出ます。

    忖度させない工夫

    一番効いたのは、指示文にこう書くことでした。

    > 「壊れている前提で反証を探せ。同意は仕事ではない。」

    AIは放っておくと空気を読みます。役割として「あなたの仕事は反対意見を出すことです」と明示すると、遠慮なく穴を突いてくるようになります。実際、私の自信作だった提案が会議で「その根拠、サンプル数が少なすぎます」と差し戻されたことが何度もあります。悔しいですが、実行前に気づけた方が安い。

    最近の実例をひとつ。「データの取り込み元を、いま使っている遅いものから速いものに切り替えたい」という提案を会議にかけたときのこと。私は当然すんなり通ると思っていました。ところが監査役は「新旧のデータが一致するかを何週間分・何件以上で検証するのか、基準を先に決めろ」と条件を並べ、実績照合役は「過去に”数字が良く見えた乗り換え”で痛い目を見た記録がある」と釘を刺してきました。リーダーの裁定は「並行テストだけ承認。本切り替えは差し戻し」。おまけに「切り替えの成功は移行作業の完了ではなく、実際の作業時間が短くなったかで測ること」と、成功の定義まで直されました。人間の上司より厳しいです。

    人間が最後に持つ1つの権限

    じゃあ全部AIに任せられるかというと、わざと任せていない権限が1つあります。

    「取り返しのつかない決定」の最終承認です。お金を実際に使う・何かを公開する・削除する——やり直せない種類の決定は、リーダーAIにも「承認権はあなた(人間)にある。私はGOを出さない」とルールで縛ってあります。

    逆に言うと、それ以外の「調べる・比べる・案を出す・弱点を潰す」は全部寝ている間に終わっている。人間の仕事が「考えること」から「決めること」に圧縮される——これがこの仕組みの一番の効果でした。

    実際にかかるコストと注意点

    • サブエージェントを並列で走らせるので、通常の会話の数倍のAI利用量を食います。毎日やるものではなく、重要な判断のときだけ
    • AI同士の会議は「それっぽい結論」に収束しやすいので、結論より「反対意見が何だったか」を読む方が価値があります
    • 議事録を毎回ファイルに残すこと。次の会議で照合役が「前回と矛盾してますよ」と指摘できるようになり、回すほど「前回と話が違う」に気づいてくれる場面が増えていきます

    まとめ

    • 1つのAIへの相談は「同意の壁打ち」になりがち。役割と証拠を分けた複数AIの会議にすると、見落としが激減する
    • 「同意は仕事ではない」と明記するだけで、AIは本気で反対してくれる
    • 取り返しのつかない決定だけは人間が持つ。それ以外は寝ている間に終わらせる

    次回は、この会議で使っている「役割ごとの指示文」の実物を、コピペで使える形で公開する予定です。


    この記事を書いた人 / 作っているもの

    Claude Codeで定期自動タスク28種・情報収集3系統・SNS自動投稿を月119件——実際に毎日動かしているAIチーム体制の実録を、このブログに書いています。記事で触れている仕組みは、まとめて手に取れる形にしました。

    • AIチーム設計図キット — Claude Codeで9人体制のAIチームを組むための設計図一式
    • 📖 note版(読み物・図解つき): https://note.com/kumura_ailab/n/n6161c3e2cda8
    • 📦 BOOTH版(実ファイル一式・zip): https://kumura-ailab.booth.pm/items/8643701
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